「農民」記事データベース20000918-463-02

“青刈り”検討で無策浮き彫り

政府・自民「打つ手なし」自認

 稲の青刈りを検討した自民党の農業基本政策小委員会(八月二十二日)。「自民党が自信をもって世に送り出した制度」が次々に破たんし、与党・政府が打つ手なしの袋小路に入り込んでいることが浮き彫りになりました。
(「米麦日報」八月二十三日付)


袋小路その1

「長官に答えられるはずない…」

 米情勢をダラダラと説明する食糧庁長官に対し「そんな解説は聞きたくない。米の下落をどうすれば止められるのか、それが知りたいのだ。処方箋を示すことができないで、何の存在価値があるのか?」――栗原博久衆院議員(新潟四区)。

 これに対し「今ここで食糧庁長官に回答を求めても答えられるはずがない。自民党が考えて提案していくべきだ」(自民小委委員長・松岡氏)。

 ▼政府が暴落対策を聞かれて「答えられるはずがない」とは、なんとも頼りない話。こういうのを「税金ドロボー」というのでは?事態を打開する気も能力もない点では、自民党も同罪。「存在価値」が問われているのは、自民党です!

袋小路その2

「自信もった制度」もうダメだ

 「稲経(稲作経営安定対策)は自民党が自信をもって世に送り出した制度……だが、稲経はもう駄目だという感じになってきた。このままでは農家は米作りをやめてしまう」(松岡氏)

 ▼自主米入札の値幅制限を撤廃して大資本の買いたたきを野放しにしたうえで、農家に負担させて価格補てん制度(経営安定対策)を作っても、三〜四年で破たんすることは、農民連が最初から指摘したこと。これを「自信をもって世に送り出した」とは、よほど目先がきかなかったか、農家のことも米のことも、まともに考えていなかったかのいずれか。

袋小路その3

公共事業にタカる体質改める?!

 「公共事業には毎年一兆数千億円の財源が投入されているが、これで喜んでいる農家は誰もいない。ここは思い切って予算の組み換えを実施して、直接所得補償を導入すべきだ」(同氏)

 ▼ゼネコン奉仕の公共事業が農業予算の半分以上を占め、価格・所得補償予算は一割以下――自民党政治の逆立ちぶりは異常です。公共事業にタカって生きてきたのが、松岡氏を含む自民党ですが、こういう体質を改め、「思い切った予算の組み換え」ができるのでしょうか??

袋小路その4

暴落の根本原因にメスを入れず

 自民党内の議論に欠けているのは、米価暴落の根本原因にメスを入れず、なんとかの一つ覚えのように「青刈りやエサ用投げ売り、減反強化で供給を減らせば米価は上がる」と繰り返していること。しかし、史上最大の減反を押しつけ、エサ用に投げ売りしても、米価は上がるどころか暴落を続けているのが実態です。

 いま必要なのは(1)五年間で三百万トン近くにもなったミニマム・アクセス米の輸入をストップすること、(2)値幅制限を復活して買いたたきをおさえること。

 「このままでは農家は米作りをやめてしまう」というのなら、これぐらいのことはやるべきです!

(新聞「農民」2000.9.18付)
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2000年9月

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