演劇民主主義の根幹を問う劇団阿修羅 「12人の怒れる男達」
多数決で人間の命を奪ってもいいのか、民主主義の根幹を問いかける舞台として知られる「12人の怒れる男達」が、劇団阿修羅によって上演されます。アメリカのレジナルド・ローズが書いたこの作品は、すでに映画化されたのをはじめ、多くの劇団や集団がいろいろな翻訳によって上演しています。阿修羅にとっても五年前に初演し、今回は劇団十周年という節目を迎えての再演となります。 一九五四年のアメリカ・ニューヨーク。十八歳の若者が計画殺人の容疑で陪審裁判にかけられました。六日間にわたる審理。裁判長は説示で「もし、有罪と陪審員が評決した場合は被告は死刑」といいます。そして、密室で十二人の陪審員による評議がはじまりました。だれもが、短時間で「有罪」が決まると思っていました。しかし、八号はいいます。「話し合いたいんです」と。 アメリカの陪審制度は、一般市民から無作為で抽出された陪審員が審判に参与して、事実の有無などに付き評決します。この舞台に登場する陪審員も下町の体育教師、銀行員、運送会社の社長、株の仲買人、貧民街で育ったサラリーマン、塗装職人、セールスマン、広告代理店に勤務する者など、さまざまに職業をもつ人たちです。 劇団代表で俳優の岡部政明さんはいいます。「この芝居をする背景には、政府によって進められている司法制度改革の問題があります。改革といえばいいんですが、われわれ国民からみれば改悪になることも懸念されます。演劇人ですから舞台を通して訴えたいと思います。この舞台は裁判劇ですが、民主主義の根本をとられています。本当に自我に目覚めた人間が民主主義を支えるということを訴えています」 松木圓演出。出演は宮川尚、神山寛、側見民雄、川崎桂、境賢一ほか。 公演にあわせて、開演前に伊佐千尋さんの特別企画講演「開かれた司法とは…」も行われます。
9月12日〜15日午後7時15分開演、東京・品川区・六行会ホール(京浜急行新馬場駅下車)。 (A/新聞「農民」2000.9.11付)
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[2000年9月]
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