収穫目前“米の青田刈りとはなにごと”農政史上初の暴挙 農民連が撤回要求農民が精根傾けて育て、収穫の喜びを味わう直前になって、政府・自民党は“豊作による米の過剰対策”と称して「青刈り」を押し付ける日本の農政史上初めての暴挙を行おうとしています。外米輸入にはいっさいふれず、すでにJA全中・全農などを通じて農民に犠牲を強いる動きが各地で現れています。これに対して農民連は八月三十一日、農水大臣あてに「青刈をやめよ」「外米の輸入を中止せよ」など五項目の要求で緊急に要請し、食糧庁の担当者と交渉しました。交渉には農民連本部をはじめ宮城、新潟、茨城、千葉、群馬、埼玉、神奈川県連の代表十五人が参加。
政府・自民党が指示農民連=いま稲穂が黄金色になり、農家は豊作になるのではないかと喜んでいるのに、なぜ青刈りというバ力なことをやるのか。いったい誰が言い出したのか。食糧庁=政府・与党。 農民連=政府といっても、あなたがたも政府の一員ではないか。与党とはどの党か。 食糧庁=自民党。 農民連=自民党がいつ言ってきたのか。 食糧庁=八月二十二日に自民党(農業基本政策小委員会・松岡利勝小委員長)から過剰米対策の指示があり、いま検討しているところだ。 農民連=稲刈りが始まっている所もあるのに、青刈りは可能なのか。 食糧庁=九月上旬なら九州、中国、四国、東海などの二十一都府県、九月中旬は十一府県、九月下旬は大分一県だ。割り当てはできない。十アール当たり四万三千円の助成で、農業団体に呼びかけて自主的にやってもらう。 農民連=七月頃なら青刈りと言えるが、何が自主的だ。手塩に掛けて育てた稲を収穫直前に誰が刈れると思うのか。出産直前に子どもを中絶しろというものではないか。あなた方は胸が痛まないのか。絶対に反対だ。 食糧庁=農業団体の意見も聞き、検討しているところだ。 農民連=青刈りはすぐにやめろ。
“過剰”の原因は外米農民連=“過剰”だというなら、義務でもない外米(ミニマム・アクセス米)の輸入をやめるか、大幅に削減したらどうか。食糧庁=義務ではないが、国家貿易なので減らせない。輸入にともなう生産調整はやっていない。 農民連=何をいうか。過剰の原因は三百万トン近くも輸入した外米ではないか。「外米は関係ない」などと子どもだましもいい加減にしろ。輸入が増えて米価が一俵(六十キロ)当たり五千円以上も下がっている。WTO協定を改定するよう意見を出すべきだ。
値幅制限の復活を農民連=米価暴落の原因は、自主流通米の値幅制限を撤廃したためで、政府の責任だ。直ちに復活せよ。食糧庁=値幅制限を撤廃した時は千円も値上がりした。希望価格も出せるようになった。 農民連=冗談ではない。希望価格はまったく無視されているではないか。米価は下がりっ放しではないか。生産費は一万九千九百九十一円と、農水省は計算しているではないか。こんなに下がった米価をどうするのか。農民は五千円札をつけて売るようなものだ。どうしてくれるのか。 食糧庁=需給は市場原理を反映させることが大切だ。 農民連=値幅制限をすぐに復活することが、米価を引き上げるためにどうしても必要だ。 農民連=政府米の買い入れをしないというのは事実か。 食糧庁=政府米の売却数量から二十五万トンを差し引いた分だけ買い入れることにしている。今年は売却予定が二十五万トン以下と見込まれるので、買い入れがないことも考えられる。 農民連=それはおかしい。二十五万トンは誰が決めたのか。豊作で“余剰”が出そうだとしたら、政府米を大量に買い入れて米価の下支えするのが当然ではないか。それを買い入れゼロというのは、政府が価格の引き下げを放置し、推進しているとしか考えられないではないか。 食糧庁=ルールなので。 農民連=そんなルールは変えればよい。農家に役立つようにすべきだ。備蓄米は棚上げ備蓄とし、その処理はすべて政府の責任で行うようにせよ。
抗議集中し反対の運動を農民連=農民は青刈りに激しく怒っている。われわれは、青刈りの暴挙は絶対にやめることを要求する。食糧庁=米価を上げるには、生産を制限するか、備蓄を減らすか、消費を伸ばすことが必要だ。 農民連=とんでもない。農家が汗水流して稲や作物を作っているのをどう考えているのか。国民は国産の安全なものをと願っているのに、作るなとは何事か。それでも日本の農水省か。
参加者は「青刈りを強制する自民党への抗議を集中し、反対の運動を広げよう」と意思統一し、ただちに行動に立ちあがっています。 (新聞「農民」2000.9.11付)
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[2000年9月]
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