「農民」記事データベース20000501-448-02

固定資産税

各地で大幅軽減の事例も

課税台帳の縦覧でわかる

関連/埼玉 畑に大横断幕減免軽油 申請通り認めさす

 固定資産の課税台帳を縦覧したところでは、各地で引き下げられたりしている事例が生まれています。今回の評価替えでは審査申出制度が変わり、多くの市町村で五月末までに期間が延長されています。これを大いに活用し、審査請求の取り組みを行いましよう。


静岡ではなんと7分の1下げる

 静岡県農民連は、昨年四月の東京高裁での「農業用施設用地(家畜舎や堆肥舎、温室などの建つ土地)への宅地なみ課税は違法」との画期的な判決の教訓を生かし、固定資産税を引き下げようと取り組んでいます。

 四月十三日には、浜松市農民組合、細江町農民組合滝沢ブロック、浜松民商三方原支部の五人と県連事務局次長の吉川が浜松市資産税課を訪れ、固定資産税の課税台帳を縦覧しました。

 画期的な判決は、浜松市の農民連など二十一人の仲間が起こした裁判。原告の一人である農民連会員の兼子保峰さんの堆肥舎や取り付け道路の評価が約七分の一に下がり、約十万円も負担が軽減されていることが縦覧でわかりました。

 一方、静岡市の農民連会員の高津友彦さんは、縦覧したところ鶏舎の固定資産税が十分の一に引き下がっていることが分かりました。

 九百七十平方メートルの面積の鶏舎は、これまで三十八万七千六百九円だったのが三万八千四百五十九円と、三十四万九千百五十円も引き下げとなっています。

 高津さんは、周辺の農家にも固定資産税問題に取り組むことを呼びかけることにしています。

 また、高津さんは、鶏舎だけではなく農家の敷地内の農業施設用地を農地なみにすることなど改善を要望するようにしています。

(静岡県連 吉川利明)


百二十二万円の評価が四千円に/新潟・五泉市

 新潟県五泉市の高橋勇次さんは、市街化調整区域の水田が宅地なみの評価をされていましたが、市に問い合わせ、四月十四日に現地を確認させ評価が農地に変わりました。その結果、評価額が百二十二万四千円から四千二百三十三円と大幅に引き下げられ、喜んでいます。

 二十年ほど前、市街化調整区域に田がありました。県道の拡張のために買収され、約二百平方メートルが残地となり、そのうち五十平方メートルほどが地目変更されました。登記上は田となっていますが、地目の現況は雑種地の扱いで宅地なみに課税されていました。

水耕栽培なども農地並み評価/静岡・浜松市

 静岡県浜松市は、今回の固定資産の評価替えで農家の要求を一定程度取り入れた方針を打ち出しています。それは次の通りです。

 (1)水耕栽培も農地なみに評価する、(2)コンクリートをはっていても農地なみに評価する、(3)農家の敷地内にある農業用施設(作業場、貯蔵庫ほか)用地も区分けができれば農地なみに評価する、(4)農家から分家して農地を宅地に転用したもの(限定宅地、転売は認められない)は評価を二〜三割軽減する、(5)造成費は道路建設課の資料の最低限(一平方メートル当たり二千三百十円)で評価する、というもの。

東京農民連も取り組み強化

 東京農民連は、高い固定資産税を引き下げさせようと取り組むなかで組織づくりを進めています。四月十七日には、西多摩支部準備会を結成しました。

 青梅市、羽村市、あきる野市、福生市などの点在の会員が集まり、準備会を発足させ、固定資産税や猿害などの問題に取り組んでいます。


相続税大幅軽減を!

埼玉 畑に大横断幕

 「営農継続と親ゆずりの財産を守るため政府・自・公・保は農地への相続税を大幅に軽減しろ!」――埼玉農民連副会長の根岸龍一さん(写真=右が川口市農業委員、左は松本事務局長)の畑に掲げられた横断幕(幅九十センチ、長さ三・六メートル)。

 四月二十一日、根岸さんが固定資産の課税台帳を縦覧すると、前年に比べて評価額が下がっているのに固定資産額は負担調整によって二・五%引き上げられていました。さっそく審査申出書を受け取り、不服審査請求の準備をしています。「川口市の農地は、八年間に三百五十ヘクタール、三五%も減少しています。借金で固定資産税を払っている農家もおり、農業委員会長ともよくその話をします。過重な税負担を改善することは緊急の課題です」。


減免軽油 申請通り認めさす

兵庫・赤穂農民組合が成果

 兵庫県の西の端にある赤穂農民組合(赤穂市、相生市、上郡町がエリア)は、今年から減免軽油のとりくみを始めました。

 問題になったのは、県の基準では、使用量が十アール当り一・八リットルとメチャクチャ少ないこと。農民組合で積算したところ十アールで三十五リットルになりました。

 これをもとに財務事務所と、「昔と違って今は機械も大きい」と交渉。その結果、申請どおり七人で合計九千四百五十リットルの軽油免税券を受け取り、三十万九千円の減税をかちとりました。

(赤穗農民組合 江見義彦)

(新聞「農民」2000.5.1付)
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2000年5月

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